みーちゃんが生まれて、もうすぐ8歳になろうとしていた頃のこと。
重度の知的障がいと自閉症を併せ持つ娘との日々は、愛おしさとともに、たくさんの「わからない」に囲まれていた。
毎日一緒に過ごしているのに、心の中がまるで見えない。
なぜ、突然走り出すの?
なぜ、人を噛むの?
どうして、何もない場所で跳びはねるの?
行動の理由がまったくわからず、どう対応すればいいのか悩む日々。
どうしたらみーちゃんの気持ちを知ることができるんだろう――そんな問いが、毎日のように頭の中をぐるぐる回っていた。
そんなある日、本屋で一冊のタイトルに目が止まった。
『自閉症の僕が跳びはねる理由』
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まさに今の私に必要な言葉だった。
このタイトルを見た瞬間、すぐに購入を決めた。
言葉の届かない世界に、言葉で答えてくれた人がいた
この本の著者は、東田直樹さん。
会話ができない自閉症の当事者として、中学生のときにこの本を執筆されたという。
本が届いたその日、家事を後回しにしてページを開いた。
「音が耳に突き刺さるように感じる」
「落ち着かないとき、跳びはねることで自分を整えている」
「人を傷つけたいわけじゃない。でも身体が言うことを聞かないことがある」
東田さんの言葉には、みーちゃんの“なぜ?”のヒントがぎっしり詰まっていた。
涙が止まらなかった。
「今まで理解してあげられなくてごめんね」と、心の中で何度も謝った。
もちろん、自閉症の特性は人それぞれ。
東田さんとみーちゃんがまったく同じ世界を見ているとは思わない。
でも、「跳びはねる理由」を当事者の視点から知れたことで、みーちゃんの行動を少しずつ“想像できるもの”として受け止められるようになった。
「わからない」ではなく、「もしかしたら、こうかもしれない」
そんな小さな一歩が、子育ての重さを少しだけ軽くしてくれた。
私のバイブルになった一冊
今では、子育てに迷ったとき、立ち止まりたくなったときに何度も読み返す、大切な本。
当時の私にとって、この本の存在は“救い”だった。
そして今、同じように悩む誰かにとっても、この本が何かのヒントになりますように。
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📘 『自閉症の僕が跳びはねる理由』(角川文庫)