娘が4歳の頃、通っていた通園施設では手指の運動の一環として、新聞紙やチラシをビリビリに破いて紙吹雪で遊ぶというカリキュラムがあった。
ひらひら舞うものが大好きな娘にとっては、まさにツボ。
楽しそうに紙をちぎっては、ふわっと宙に放ってうっとり眺めていた。
その遊びは当然、家にも持ち帰られた。
気がつけば、テーブルの上の広告、届いた郵便物、ちょっと置いておいたメモ用紙まで、片っ端からちぎられていく。
夢中でちぎって、満足そうにリビング中にばら撒く。
紙を破る音が聞こえたら最後、数分後にはフローリングが見えなくなるほどの紙吹雪状態。
まるで毎日が紙の祭りだった。
集中して取り組んでくれるのはありがたかったのだが、困ったのはその後。
片付けようとすると怒ってまた散らかす。
どうやら紙吹雪は舞っている間だけでなく、舞い終わった後に床一面を埋め尽くさないといけないこだわりのようになってしまった。
そういうわけで、しばらくの間、我が家のリビングは掃除がままならなかった。
紙吹雪の中で食事して、紙吹雪の中でテレビを観る日々。
そんな中、よりによって来客があった日もある。
玄関を開けた瞬間の「えっ…?」という顔。
そしてリビングを見たあとの、「…ああ」という、なんとも言えない反応。
どう言ったら良いのか迷っているのが表情に出ていて、私も苦笑いするしかなかった。
「ええ、まあ、今はこういう時期なんです」としか言えなかったけれど、その瞬間の空気も、今となっては思い出として話せるくらいになった。
今まで余暇活動は多動か水遊びしかなかったが、ひとつ遊びが増えたのは嬉しいこと。
でもこの遊び、ずっと続いたらどうしよう・・・と思うとぞっとしたが、半年くらいで終わった。
この時に学んだこと。
「いつかは、終わる。」