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発語なし・重度自閉症の子どもを育てていると、
“脱走” はどの家庭でも起こり得る出来事です。
わが家でも、娘が2歳の初夏に脱走が起き、胸が潰れるような不安と恐怖を味わいました。
この記事では、その日の状況と、再発防止のために行った対策をまとめます。
同じ悩みを抱える方の参考になれば幸いです。
2歳の初夏に起きた「脱走」
あれは娘が2歳の初夏のこと。
窓を開けて網戸にしていると、心地よい風が入ってくる日でした。
私は、みーちゃんが静かなうちにと家事でバタバタ。
時々様子を見ながら過ごしていました。
ふと気づきました。
「あれ?静かすぎる。どこかに隠れた?」
家の中の隅々まで名前を呼びながら探しましたが、姿がない。
どこかに隠れた?
まだ探していない場所はある?
そう考えていると、ふと網戸が 少し開いている のが目に入りました。
まさか――。
全身に冷たいものが走り、私は急いで外へ飛び出しました。
しかし、自宅前の道にはいません。
その瞬間、私は最悪の想像が一気に押し寄せてきました。
- 車の危険を理解していない
- 道路に飛び出す可能性
- 転んで泣いているかもしれない
- 誰かに連れて行かれるかもしれない
恐怖で手が震えました。
ほんの数十秒の間に、あらゆる覚悟をしたのを覚えています。
近所の人が異変に気づき、「どうしたの?」と声をかけてくれました。
事情を説明すると、
「手分けして探そう!」
とすぐに人数を集めてくれて、近所総出の捜索になりました。
自宅前には大きな公園があります。
散歩でよく行く場所なので、可能性は高い。
「私たちが公園を見るから、お母さんは家に近い場所を探して!」
と言ってくれたので、私は家の周辺や子どもが入りそうな場所を探しました。
そして――。
10分後
近所の方がみーちゃんを抱っこして戻ってきました。
どうやら、公園のグラウンドを裸足で走っていたようです。
生きていてくれた。
その瞬間、腰が抜けて座り込みました。
近所の方々も「良かったね」「無事でよかった」と声をかけてくれました。
本人はというと……
全く悪びれる様子もなく、ただ走りたかっただけ。
「外に出たかった」
その純粋な行動が、時に命の危険につながることを改めて痛感しました。
この出来事のあと、わが家ではすぐに 網戸ストッパー を導入しました。
なぜ脱走が起きたのか(発達特性との関係)
自閉症の子どもの脱走には、いくつかの典型的な背景があります。
■ 興味のままに行動してしまう
危険より「行きたい」「走りたい」が優先される。
■ 危険予測ができない
「車が危ない」「外に出てはいけない」という概念が薄い。
■ 伝える手段がなかった
当時のみーちゃんは発語がなく、ジェスチャーもほとんどできませんでした。
そのため“外へ行きたい” を言葉で伝えられず、行動で示してしまう状況でした。
■ 自分が探されていることを認識しづらい
悪意ではなく、“親との距離” の概念がまだ弱い段階でした。
脱走は、注意不足ではなく、
発達特性が合わさることで起こりやすい現象 なのだと改めて理解しました。
再発防止のために行った対策
脱走後、私が取った対策は「行動ではなく環境を変える」ことが中心でした。
2歳当時は意思表示の練習が難しかったため、
環境調整が最も効果的でした。
① 網戸ストッパー・補助鍵で物理的ロック
まず、網戸もドアも子どもの手が届かない位置で施錠できるようにしました。
これが最も即効性のある対策でした。特に2階の窓は3重ロック。
エアコン不要な季節なのに窓を閉めていたため、電気代かかりました(泣)
みーちゃんは知能の発達がとても遅かったので、上部にこれをつけるだけで大丈夫でした。
よくベランダに出たがっていたので、2階の窓に設置していました。2階のベランダから、外を覗きたがるんですよね・・・気持ちはわかりますが。
② 玄関前にベビーゲートを設置
玄関に直接近づけないよう、第二バリアを作りました。
③ 外出ルーティンを作る(親主導)
2歳のみーちゃんには意思表示が難しかったため、
“外へ行きたい気持ちを満たす時間” を親があらかじめ作ることで、
衝動的な脱走のリスクを減らすようにしました。
④ 環境整理
- 足場になる家具を置かない
⑤室内で感覚遊び・体を使うおもちゃや遊具を設置
これ、フルに体力使えていいですね。みーちゃんが幼少の頃、こんなのなかったな・・・。みーちゃんはアンパンマンでした。
ボールプール、みんな大好きですよね。寝静まったらボール片付けが日課でした(泣)
成人してからは?
もう22歳なのでさすがに脱走はしませんが、知能が高くなると「電車に乗りたい」「マックに行きたい」など、自らの意思を持って、勝手に外出してしまう可能性は否定できません。
みーちゃんの同級生、電車に乗りたくて一人で駅まで行ったのですが、お金を持たず、切符を買わずに改札を通り抜けようとしているところを駅員さんに発見され、連絡がきた過去あります。
同じ悩みを持つご家庭へ
脱走は、決して珍しいことではありません。
そして、親のせいでも注意不足でもないのでご自分を責めないでください。
発達特性が重なると、誰にでも起こり得ます。
どうか、1日穏やかに過ごせますように・・・。
