親が認知症と診断されたあと、
- 実家を売却したい
- 名義を変更したい
- 将来の施設費用を確保したい
と考えたとき、最初に直面するのが
「認知症でも名義変更できるのか?」
という問題です。
この記事では、
- 認知症の親の家は名義変更できるのか
- なぜ難しいのか
- 進めるために必要な成年後見制度
- 申立て書類のダウンロード先
- 診断書の取得で直面した現実
を、制度に沿って整理します。
認知症の親の家は名義変更できる?
結論として、
判断能力が低下している場合、原則として名義変更はできません。
不動産の名義変更(所有権移転登記)には、本人の意思能力が必要です。
民法上、意思能力を欠く状態で行われた契約は無効とされる可能性があります。
そのため、
- 贈与
- 売買
- 持分移転
いずれの場合も、司法書士は本人の判断能力を確認します。
認知症が進行している場合、「認知症 名義変更」は実務上きわめて困難です。
認知症だと名義変更ができない理由
名義変更には、
- 本人の明確な意思表示
- 契約内容の理解
- 登記申請時の本人確認
が必要です。
判断能力が不十分と判断されると、
- 契約が無効になる可能性
- 将来トラブルになるリスク
- 登記申請が受理されない
といった問題が生じます。
認知症の親の家を動かす方法は「成年後見制度」
名義変更や売却を検討する場合、
現実的な方法が成年後見制度です。
成年後見制度とは、判断能力が不十分な人を家庭裁判所が法的に支援する制度です。
後見人が選任されると、
- 不動産管理
- 預金管理
- 契約行為
が可能になります。
ただし、不動産売却などの重要な財産処分には
家庭裁判所の許可が別途必要です。
成年後見の申立て手続きの流れ
- 医師の診断書を取得
- 必要書類を準備
- 本人住所地の家庭裁判所へ申立て
- 面談・審理
- 後見人選任
目安期間は2〜3か月程度です。
後見申立てに必要な診断書とは
成年後見の申立てには、裁判所指定様式の診断書が必要です。
これは単なる病名の診断書ではなく、
- 判断能力の程度
- 認知機能の状態
- 後見・保佐・補助のどれが相当か
を医学的に評価する書類です。
主治医に診断書を断られたケース
私の場合、母の主治医は外科と内科クリニックでした。
後見申立て用の診断書を依頼したところ、
「この様式は書けない。認知症外来や精神内科を受診してください」
と言われました。
制度上、精神科医でなければならないという決まりはありません。
しかし実務上は、
- 精神科
- 心療内科
- 認知症専門外来
で作成されることが多いのが現実です。
診断書の取得が、最初の大きな壁になる場合があります。
成年後見申立て書類のダウンロード先(公式)
成年後見(後見開始)の申立書式は、裁判所公式サイトから取得します。
▶ 後見開始の申立書式一覧
https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_kazisinpan/syosiki_01_01/index.html
掲載されている主な書類:
- 後見開始申立書
- 事情説明書
- 財産目録
- 親族関係図
- 収支予定表
- 医師の診断書(指定様式)
必ず記入例も確認してください。
管轄家庭裁判所の確認
申立ては、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に行います。
家庭裁判所ごとに、
- 郵便切手の金額
- 提出部数
- 追加資料
が異なる場合があります。
書式をダウンロードした後、管轄裁判所の案内も確認してください。
成年後見の費用目安
- 収入印紙:約800円
- 郵便切手:約3,000〜5,000円
- 診断書:約5,000〜10,000円
- 鑑定費用(必要な場合):5万〜10万円
鑑定は必ず実施されるわけではありません。
まとめ
認知症の状態で不動産の名義変更を行うことは、原則として困難です。
名義変更や売却を進めるには、成年後見制度を利用し、家庭裁判所の手続きを経る必要があります。
特に診断書の取得は、かかりつけ医で対応できない場合もあり、専門外来の受診が必要になることがあります。
制度に沿って手続きを進めることが、法的トラブルを避けるうえで最も確実な方法です。