「18歳の壁」という言葉、聞いたことはありますか?
障がいのある子を育てる親にとって、18歳はひとつの大きな節目です。
これまで使えていた放課後デイサービスなどが終わり、新しい制度に切り替わります。手続きは増え、選択肢は増え、でも情報は少ない。
そんな状況に、多くの親が不安を抱えています。
この記事では、重度知的障害(発語なし)のわが子を持つ母親の実体験と、中程度知的障害のパターンを並べながら、18歳以降の暮らしと働き方をわかりやすく解説します。
「うちの子、将来どうなるんだろう」と思っているお母さんに、少しでも参考になれば嬉しいです。
18歳の壁とは何か
18歳の壁とは、障がいのある子どもが18歳になると、使えるサービスの制度が大きく変わることを指します。
18歳までは「児童福祉」の枠組みでサービスを受けています。
ところが18歳を過ぎると、「障害福祉サービス」という大人向けの制度に切り替わります。
具体的に何が変わるのか
- 受給者証の種類が変わる
- 使えるサービスの種類・支給量が変わる
- 相談窓口・支援者が変わることもある
- 放課後等デイサービスが使えなくなる
子どもの頃からお世話になった支援者と別れ、一から関係を作り直す必要が出てくることもあります。
手続きの多さと、情報収集の大変さが重なる時期です。
重度知的障害(わが家のケース)
特別支援学校卒業後の行き先
重度知的障害・自閉症(発語なし)のわが子は、特別支援学校を卒業後、生活介護事業所に通所しています。
現在23歳。平日は毎日通所し、日中を事業所で過ごしています。
重度の場合、卒業後の行き先はおもに以下の2つです。
- 生活介護事業所(日中通所型)
- 入所施設(施設で生活する)
わが家は現在、自宅から通所するスタイルを選んでいます。
生活介護事業所とは
生活介護とは、障害支援区分3以上の方を対象とした、日中活動の場です。
ただし以下の場合は要件が異なります。
- 50歳以上の場合は区分2以上から利用できる
- 施設入所支援と組み合わせる場合は区分4以上が基本
主な活動内容はこんな感じです。
- 創作活動(絵を描く、工作など)
- 軽作業(袋詰めなど)
- 入浴・排泄などの身体介護
- 散歩・レクリエーション
「仕事」というより「生活の場」に近いイメージです。
工賃(作業の報酬)は発生する事業所もありますが、月数百円〜数千円程度のことが多いです。
「仕事」という概念がない世界線の話
正直に言います。
重度知的障害・発語なしのわが子に、一般的な意味での「仕事」はありません。
就労を目指す支援ではなく、安全に、安心して、毎日を過ごすことが目標になります。
これは「かわいそう」ではなく、その子に合った生き方だと思っています。
中程度知的障害のパターン
ひとり通所・ひとり留守番ができる生活力
中程度知的障害の方は、サポートがあればある程度自立した生活ができます。
たとえばこんなことができる方が多いです。
- バスや電車を使ってひとりで通所できる
- 短時間であれば自宅でひとり留守番ができる
- グループホームで他の入居者と共同生活ができる
「ひとりで何でもできる」ではありませんが、重度とは大きく異なる生活力があります。
就労継続支援B型・A型とは
中程度知的障害の方の多くは、**就労継続支援事業所(A型またはB型)**に通所しています。
B型は、雇用契約を結ばず、自分のペースで作業できる事業所です。
- 工賃の平均は月1万円前後
- 作業内容:軽作業、農作業、パン製造など
- 通所日数は自分に合わせて調整できる
A型は、雇用契約を結んで最低賃金が保障されます。
- 給与は月5〜8万円程度のことが多い
- 作業内容:データ入力、接客補助、清掃など
- 一定の作業能力が求められる
どちらが合うかは、その方の能力や体調によって異なります。
グループホームという選択肢
中程度の方の場合、グループホームで生活しているケースも多くあります。
グループホームとは、障がいのある方が数人で共同生活をする住居です。
- 世話人さんが食事や生活をサポート
- 日中は事業所に通い、夜はホームで過ごす
- 親元から離れての自立生活が可能
親が高齢になっても安心できる、という意味で早めに検討したい選択肢のひとつです。
母親が18歳の壁で実際に直面すること
手続きと相談窓口の多さ
18歳前後は、手続きが集中します。
- 障害福祉サービスの受給者証の切り替え
- 相談支援専門員の選定・サービス等利用計画の作成
- 卒業後の通所先の見学・申し込み(競争倍率が高い地域も)
- 障害年金の申請(20歳から。これ、結構大変だった記憶が。でも相談支援さんいれば大丈夫です)
ひとりで窓口を探す必要はありません。
わが家の場合、支援学校高等部に在学中に、放課後等デイサービスの支援員さんから「そろそろ相談支援専門員をつけた方がいいですよ」とアドバイスをもらいました。
その流れで、デイサービスが所属する社会福祉法人から相談支援専門員を紹介していただきました。
卒業後に慌てて動くのではなく、高等部在学中から動き始めることが、結果的に余裕につながります。
信頼できる支援者がいる方は、まずその方に「相談支援のこと、そろそろ考えた方がいいですか?」と聞いてみるのがおすすめです。
母親自身の働き方問題
重度の場合、子どもが成人しても介護の負担はなくなりません。
むしろ体が大きくなるぶん、身体的な負担が増すこともあります。
わが家では、コロナ前にみーちゃんが通所拒否になり、数年間仕事ができない時期がありました。
今はやっと、本人が楽しめる事業所に安定して通所できています。でも、それが「安定した仕事ができる」には直結しないのが現実です。
発語がなく、意思表示も乏しいみーちゃんの場合、体調不良やメンタルの不調を見逃すと、後々通所拒否につながります。
だから小さなサインを見落とさないよう、毎日の様子を注意深く観察しています。
そしていつも迷うのが、**「機嫌が悪い日や、生理でつらそうな日に通所させていいのか」**という判断です。
無理に通所させると支援員さんに負担をかけてしまう。かといって休ませると、自分の仕事も休まなければならない。
この葛藤が、ほぼ毎月あります。
「障がい児の親は仕事が続けにくい」とよく言われますが、それは子どもが小さいうちだけの話ではありません。成人してからも、この綱渡りは続きます。
使えるサービスを最大限組み合わせることは大切ですが、それだけで解決できない問題がある、ということも正直に書いておきたいと思います。
よかてんのひとりごと
次の記事は、フルタイムで働けない私の仕事について書く予定です。
たくさんの壁の前で立ち止まってるお母さんに、この記事が少しでも役に立てたら嬉しいです。