みーちゃんが小学校に入学する年、私は進路について深く悩みました。
今でこそ、重度の知的障がいを持つ子どもが支援学校へ進むことは珍しくありませんが、当時は選択肢も情報も十分ではありませんでした。
この記録は、地域小学校を選んだ背景、そこで過ごした6年間、そして今になって冷静に振り返れる“もう一つの選択肢”についてまとめたものです。
◆ 第1章:地域の小学校を選んだ背景
みーちゃんが一年生になる年、ちょうど近くに新しい支援学校が開校する時期でした。
教育委員会からは
「支援学校も検討してほしい」
という提案がありました。
しかし、当時の私はその提案をすぐに受け入れることができませんでした。
● 地域で育ってほしいという強い願い
長く暮らしてきた地域の中で、顔見知りの方々に温かく見守られながら小学校生活を送ってほしい──
そんな思いが私の中でとても強くありました。
● 新設の支援学校の情報がほとんどなかった
どんな先生がいるのか、どんな雰囲気の学校なのか。
判断する材料が本当に少なかったのです。
● 双子の姉の言葉
「みーちゃんと一緒に学校へ行きたい」
その言葉が、私の背中を強く押しました。
こうした思いを教育委員会に丁寧に伝え、
最終的に地域の小学校への就学が認められました。
今振り返ると、あの時の私は
“その時代の情報・環境・家庭事情の中での最善”
を一生懸命に選んでいたのだと思います。
◆ 第2章:学校生活とみーちゃんの負担
地域小学校に通い始めたとはいえ、当時のみーちゃんの発達年齢は1歳半ほど。
学校生活は理解できない刺激の連続でした。
- 大勢の子どもの動き
- 予測できないスケジュールの切り替え
- 音、声、気配
こうした環境はみーちゃんにとって大きな負荷で、
長時間の緊張状態が続いたことで
他害行動が増えた時期 でもあります。
私自身も毎日が張りつめた状態で、精神的に追い詰められていきました。
◆ 第3章:地域小に通わせて良かったと感じた面
大変なことが多かった一方で、
地域小学校に通ったからこそ得られた“良かった面”も確かにありました。
● 子どもたちが本当に優しかった
みーちゃんに対して、学年を問わずどの子も自然に優しく接してくれました。
- 廊下ですれ違うと「あっ、みーちゃん!」と声をかけてくれる
- 困っている様子があれば、気にかけてくれる
- 体育館では安全に配慮しながら距離を保って見守ってくれる
地域の子どもたちのあたたかさには、何度も救われました。
● 支援級が“蚊帳の外”にならない学校だった
学校側も、支援級の子どもたちが行事や活動から取り残されないよう、
とても丁寧に関わってくれていました。
- 行事には可能な範囲で参加させてもらえる
- 通常級との自然な交流をつくってくれる
- 支援級が孤立しないよう、先生同士がしっかり連携
支援教育の専門校ではなくても、
学校全体でみーちゃんを見守り、
穏やかに受け入れてくれる雰囲気がありました。
これは、地域の学校ならではの“人のあたたかさ”だったと思います。
◆ 第4章:支援級での学びと先生方のサポート
通常学級に参加できたのは、朝の会・体育・音楽・図工・給食・終わりの会など一部の時間だけでした。
多くの時間は支援級で個別課題に取り組んでいました。
- 名前を書く練習
- 数字(1〜10)
- 五十音カードの理解
- 絵カードのマッチング
- パズル
先生方は本当に根気よく、毎日丁寧に教えてくださいました。
そのおかげで、1年生の終わりには
名前を書けるようになり、
五十音カードも理解し、
数字も書けるようになりました。
感謝の気持ちは今でも変わりません。
◆ 第5章:いまの私なら、支援学校を選ぶかもしれない
当時は地域で育てたい気持ちが何より強く、
その思いを大切にして地域小を選びました。
しかし今は、支援環境が整い、支援学校の専門性も高く、
子どもが過ごしやすい環境が以前より明確になってきました。
- 支援学校の専門体制
- 個別最適な学び
- 放課後デイサービスの充実
- 支援級・通常級双方の児童の負担が社会的に可視化
こうした時代の変化を踏まえると、
今の私がもう一度同じ場面に立ったなら、
きっと別の選択肢も見えるのだと思います。
◆ 第6章:6年間の通学にあった価値
朝7時40分に家を出て、徒歩20分の道を手をつないで歩いた6年間。
雨の日も雪の日も続けた通学は、
みーちゃんにとっても、私にとっても大切な時間でした。
大変なことも多かったけれど、
その中で少しずつ成長し、
私自身も多くのことを学びました。
支えてくださった先生方、地域の方々には本当に感謝しかありません。
◆ よかてんのひとりごと
6年間色々ありすぎて、ひとりでよく泣きました💧
卒業式は、卒業生入場前から大号泣(笑)
色んな思いが込み上げてきて、お世話になった先生方に抱きついて、子どもみたいに「えーん💦」と声を出して号泣してしまいました。ハズカシ・・・
