母宅へ行くと、長女は決まって同じ質問をします。
それは、特別な意味があるわけでもなく、
いつの間にか習慣のようになった問いかけです。
「ばあば、今日はどこへ行くの?」
すると母は、少し考えてから答えます。
「今日はお友達とご飯を食べにいく」
「今日は仕事」
「今日は同窓会」
もちろん行けるわけがないのであり得ないのですが、
母はとても自然な口調で話します。
長女は、もう一つだけ聞きます。
「仕事って、どこへ行ってるの?」
母は首をかしげて、こう言いました。
「どこだったかな…ほら、あそこ!あれ?忘れた」
その瞬間、爆笑する22歳。
それにつられて笑う82歳。
長女は、母の話を否定しません。
「違うよ」と訂正することもありません。
ただ、その場のやり取りを楽しんでます。
みーちゃんは発語がないので、
会話としてやり取りが成立しません。
それでも祖母は、みーちゃんに向かってよく話しかけます。
「今日はばあちゃんとお風呂入ろう」
「ばあちゃんとこ、泊まるよね?」
そう言いながら、今度はみーちゃんの顔をじっと見て、
「みーちゃん、また太って……」
「あら、歯が出てきてる」(みーちゃん出っ歯気味)
みーちゃんに発語がないことは忘れてないみたいで、
特に返事を求めるわけでもなく、
思いついたことをそのまま口にしています。
最近は、若い子の間で
「おばあちゃんとの会話が面白い」と、
SNSに上げているのもよく見かけます。
認知症だから会話しても無駄、ではなく、
噛み合わない会話そのものを楽しんでいる。
今の若い子は優しいですね。