「言葉がなくても、こんなにも見ているんだ」と知った日のことを書きます。

この記事では、発語なし・重度知的障がい自閉症のみーちゃんが通所したくない気持ちを行動で伝えていた話と、子どもは親の表情をどれだけ読み取っているかについて書きます。


トイレから出てこない日

みーちゃんが支援学校を卒業して初めて生活介護の事業所に通い始めた頃、私は短時間でできる訪問介護の仕事を始めました。

時間に余裕がある仕事を選んだつもりでしたが、実際は朝からバタバタ。みーちゃんの支度、自分の準備、それだけで一日が始まる前に疲れてしまいそうな状態でした。

そんなある日の朝、みーちゃんがトイレに入ったまま出てこなくなりました。

声をかけると扉は開けてくれますが、すぐに閉められる。「出たくない」という意思表示です。

こうなると、出てくるのを待つしかありません。無理に引っ張り出すことはしませんでした。

ただ、心配なのは脱水です。

長くなりそうなときは、お茶を差し入れました。バナナを差し入れたこともあります。扉の外から声をかけながら、渡せるものを渡す。それくらいしかできることはありませんでした。

籠った日、出てきてくれたのは夕方でした。


次は着替えの途中でフリーズ

そのうち、トイレではなく着替えで止まるようになりました。

みーちゃんが着替えの途中でピタッと動かなくなりました。トレーナーの袖に腕を通す前のまま、まるで時間が止まったかのように。

「どうしたの?」と声をかけても動かない。違う服を持ってきても無反応。トイレにも行かない。腕がだるくなっても、つらくなっても、その姿勢のまま何時間もフリーズ。ひどい時は夕方まで同じ姿勢でいたこともありました。

そしてある日、「今日は休んでいいよ」とお休み用の服を持ってくると、何事もなかったかのようにスッと着替えました。

——あぁ、行きたくなかったんだね。気づくのが遅くてごめん。

みーちゃんにとっては「もう通所しなくていい」ということだったのだと思います。今思っても、もっと早く気づいてあげればよかったと後悔するばかりです。


仕事を辞めることにした

そんな日が何度か続いて、私は仕事を休む日が増えました。そして最終的に、その仕事を辞めることにしました。

今になって思います。きっとみーちゃんは私の顔を見ていた。「お母さん、仕事休めないんだよ……」そう言わないまでも、表情や空気で圧をかけてしまっていたのだと思います。

相談支援員さんにその話をしたとき「子どもって、親が思っている以上に表情を見て判断していますよね」と言われて、ハッとしました。

ほんとうに、そのとおりだと思います。


母の気持ちの余裕が、子どもの安心につながる

仕事を辞めて、収入は減りました。生活は決して楽ではありません。でも今は、みーちゃんの穏やかな日常がいちばん大事です。

表情ひとつで、子どもが我慢したり無理したりしてしまうことがある。母の気持ちの余裕が、子どもの安心につながる——それを心から実感しています。


よかてんのひとりごと

着替えのフリーズが「行きたくない」だとわかったとき、どれだけの日数気づかなかったんだろうと思いました。

発語がないということは、こういうことなんだと。言葉がなくても、ちゃんと伝えようとしてくれていた。それがわかってから、みーちゃんの「いつもと違う行動」への見方が変わりました。


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ABOUT ME
よかてん
要介護5の母の在宅介護と発語のない最重度知的障がいの自閉症の娘(みーちゃん:23歳)の支援をしながら暮らす、シングルマザーです。 在宅介護と障がいのある子どもの支援は、日々予想できない出来事の連続です。 母の徘徊、通所の不安定さ、急な休み、家事との両立、制度の複雑さ…… その中で私自身が実際に困ったこと、助けられたこと、工夫して乗り越えてきたことを記録し、同じ悩みを抱える方の助けになればと思い、このブログを始めました。 このブログが、だれかの「今日の悩み」を少しでも軽くし、安心して介護や育児に向き合えるきっかけになれば幸いです。 私自身は、3年程お休みしていた訪問介護の仕事を再開しました。 お問い合わせやご相談があれば、どうぞお気軽にご連絡ください。