成年後見の申立て前に確認してほしいこと。母の自宅売却で弁護士に相談して思ったこと
母の成年後見の申立てをしました。きっかけは、母の自宅売却です。
私は母を、私が住んでいる団地の近く、できれば同じ団地内の別部屋に引っ越しさせたいと思っていました。
私にはみーちゃんがいて、今の生活の中で母の家まで頻繁に通うのは簡単ではありません。だからこそ、母に近くに住んでもらえたら、無理を重ねずに見守りを続けられると思いました。
近くに住んでもらえれば、通院や買い物、日々の見守り、介護のサポートもしやすくなります。
でも、団地は持ち家があると入居できません。
母名義の自宅があるため、もし団地に当選しても、自宅を売却して、名義変更後の登記簿を提出しなければ入居できないことが分かりました。
また、将来的に母が特養に入ることになった場合も、資金が足りなくなる可能性があります。その時には、母の自宅を売却して、生活費や介護費、施設費に充てることも考えなければいけません。
でも、母が自分で売買契約や登記の手続きを判断できない状態なら、家族が勝手に家を売ることはできません。
そこで、成年後見人が必要になるのではないかと思い、申立てをしました。
最初は、母のために必要な手続きだと思っていました。
でも、書類を提出してから不安になりました。
「本当に今、後見人が必要なのか」
「もし私以外の専門職が後見人になったら、母のお金で報酬を払えるのか」
「一度始まったら、簡単にはやめられないのではないか」
そう思い、法テラスで弁護士さんに相談してきました。
一度申立てると、取下げは簡単ではない
弁護士さんに言われたのは、書類を提出していて、母の状態から見ても後見人が必要そうな場合、取下げは難しい可能性があるということでした。
申立て前は、「必要なければやめればいい」と思っていました。
でも実際には、診断書などで判断能力の低下が分かると、家庭裁判所としては「本人を守るために後見人が必要」と判断する可能性があります。
後見人申請は、出してから考えるものではなく、出す前に本当に必要か確認した方がいいと思いました。
申立て前に確認した方がいいこと
今回のことで、成年後見の申立ては、もっと事前に確認しておくべきだったと思いました。
特に確認した方がいいと思ったのは、次のようなことです。
- 今すぐ後見人が必要な手続きがあるのか
- 自宅売却や施設入所など、近いうちに必要な契約があるのか
- 本人の預金や年金で、専門職後見人の報酬を払えるのか
- 親族が後見人になれる可能性はあるのか
- 専門職後見人や後見監督人がついた場合、費用はどうなるのか
- 報酬助成制度が使える自治体なのか
- 本人が元気なうちに、任意後見・自宅売却・名義関係などを専門家に相談できなかったか
私の場合、母の自宅売却がきっかけでした。
団地に入るには、持ち家があると難しい。
特養に入るとしても、資金が足りなくなるかもしれない。
だから、いずれ自宅売却を考えなければいけない。
そう思って後見の申立てをしました。
でも、後見人が必要になる場面があるとしても、今すぐ申立てるべきだったのかは、もっと事前に相談しておけばよかったと思っています。
認知症かもと思う前に相談しておけばよかった
今回一番感じたのは、認知症が進んでから動くと、選択肢が少なくなるということです。
母がまだ自分でしっかり判断できるうちに、将来の住まい、自宅売却、介護費用、名義のことを専門家に相談しておけばよかったと思いました。
ただし、これは「家を子ども名義に変えておけばよかった」という単純な話ではありません。
親の家を子ども名義に変えるには、贈与税や相続、親本人の生活費、本人の利益など、いろいろな問題があります。安易に名義変更をすると、あとで別の問題が起きる可能性もあります。
だからこそ、本人が元気なうちに、司法書士さんや弁護士さんに相談しておくことが大事だと思いました。
一度後見人がつくと、簡単にはやめられない
成年後見制度は、本人を守るための制度です。
でも、今の制度では、一度後見人がつくと、原則として本人が亡くなるまで続くことが多いようです。
「家を売るためだけに一時的に使う」というような使い方がしにくいことも、今回初めて知りました。
今、国会では成年後見制度の見直しが議題に上がっています。必要な目的や期間に応じて、もっと柔軟に利用できるようにする方向の話が出ています。
参考: 成年後見制度の見直しに関する厚労省関連情報
参考: 民法等の一部を改正する法律案・衆議院
ただ、仮に制度が変わったとしても、実際に使えるようになるまでには時間がかかります。今すぐ現在の不安が解決するわけではありません。
だから、今の制度で申立てる場合は、一度始まったら簡単には終われないということも含めて、事前に考えておいた方がいいと思いました。
後見人に払うお金がない場合
私が一番不安だったのは、専門職後見人がついた場合の報酬です。
もし私ではなく、弁護士さんや司法書士さんなどの専門職が後見人になった場合、その報酬は母の財産から支払われます。
でも、母の年金は月11万円くらいです。生活費や介護費、将来の特養費用を考えると、専門職後見人への報酬を払う余裕があるのか、とても不安でした。
そのことを法テラスで相談したところ、弁護士さんからは、母の年金額なら生活保護に近い水準なので、報酬助成が出る可能性があると言われました。
成年後見制度には、自治体によって「成年後見制度利用支援事業」という報酬助成があります。本人に十分なお金がない場合、専門職後見人や後見監督人の報酬について助成が受けられる可能性があります。
参考: 成年後見はやわかり|厚生労働省
参考: 成年後見制度利用促進|厚生労働省
もちろん、助成は自動ではありません。本人の収入、預貯金、不動産などを見て、市区町村が判断します。
助成の条件や金額、申請方法は自治体によって違います。生活保護を受けている人や、それに近い収入・資産状況の人を対象にしている自治体が多いようです。
気になる場合は、本人が住んでいる市区町村の福祉窓口や、成年後見制度の担当窓口に確認するのが安心です。
弁護士さんには、専門職後見人がついた場合、その後見人が助成の申請をする形になるので、私が全部手続きしなくていい可能性が高いとも言われました。
「お金がないから後見人をつけたら終わり」ではない。
そこは少し安心できた点でした。
私が後見人になっても、専門職が補助につく可能性がある
もう一つ相談して分かったのは、親族である私が後見人に選ばれたとしても、弁護士さんや司法書士さんが監督役としてつく可能性があるということです。
私が後見人になれば、母の生活状況や希望を一番近くで見ながら動けます。
でも、不動産売却や家庭裁判所への報告など、難しい手続きもあります。そのため、親族後見人に専門職の後見監督人がつくことがあるようです。
これは費用面では不安もありますが、専門職に相談しながら進められるという意味では、悪いことばかりではないのかもしれません。
ただ、その場合も報酬が発生する可能性があるので、助成の対象になるかは確認が必要だと思いました。
これから申立てを考えている人へ
成年後見制度は、本人を守るために必要な制度です。
自宅売却、施設入所、預金管理など、本人が自分で判断できない場合には、後見人が必要になることがあります。私の母の場合も、自宅売却を考えるなら、後見人が必要になる可能性が高いと思います。
でも、申立てる前に、確認してほしいことがあります。
本当に今すぐ必要なのか。
後見人が必要になる具体的な手続きは何なのか。
親族が後見人になれる可能性はあるのか。
専門職後見人がついた場合の報酬はどうなるのか。
報酬助成は使えるのか。
本人がまだ元気なうちにできる準備はなかったのか。
私は、母を近くで見守りたかっただけでした。団地に引っ越しさせて、通院や買い物、介護や見守りをしやすくしたかっただけです。
でも実際には、持ち家があると団地に入れない、自宅を売るには本人の判断能力が問題になる、後見人が必要になる、専門職報酬が不安になる、というふうに、次々と制度の壁にぶつかりました。
同じように悩んでいる人には、申立て前に一度立ち止まってほしいです。
家庭裁判所、法テラス、自治体の福祉窓口、司法書士さん、弁護士さん。相談できるところに、早めに相談してほしいです。
後見制度は、必要な人にとっては大切な制度です。
でも、家族がよく分からないまま申立てると、あとから不安になることもあります。
私の経験が、同じように親の介護や住まいで悩んでいる人の参考になればと思います。
※この記事は私個人の体験談です。制度の扱いは自治体や家庭裁判所の判断によって変わるため、具体的な手続きは法テラス、弁護士、司法書士、家庭裁判所、自治体窓口に確認してください。