みーちゃんの日常

【自閉症育児】救急車を2回呼んだ過去。あの日、私たちが手放した「大丈夫」という思い込み

重度知的障害を伴う自閉症の娘、みーちゃん(22歳)が幼少期、私たちは計2回、救急車を呼ぶという経験をしました。

子どもの体調や行動の異変は、親にとって最大のパニックです。特に、みーちゃんのように言葉での訴えが難しい場合、「どうしてあげたらいいんだろう」という無力感に襲われます。

今回は、あの時私たち親子が経験した2つのヒヤリハットと、そこから学んだ**「諦めない判断力」と「命を守る実務的な準備」**について、当時の感情を交えながら正直にお話しします。

感情の渦:あの日の焦燥と、救急車を呼ぶまでの葛藤

1回目:5歳。「指が抜けない」二段ベッドの上の小さな絶望

みーちゃんが5歳の頃、朝、二段ベッドの上段でゴロゴロしていました。自閉症の子特有の、物に集中し没入する時間。みーちゃんが興味を持ったのは、天井の電球の傘でした。

ベッド下段でゴロゴロしていた長女が慌てた声で「みーちゃんの指が抜けない!」と私に教えてくれました。見ると、みーちゃんの指が傘とソケットの隙間に挟まって抜けなくなっていたのです。

引いても抜けないのは自分でも理解した様子。割と大人しくしてくれていたが、無理に引っ張れば、指がどうにかなってしまうかもしれない。私が抜こうとしてもダメだった。

焦る私。

「みーちゃんの指がどうにかなったらどうしよう・・・」なんて最悪の事態が頭の中で渦巻く。

でも「こんなことで救急車を呼んでいいのだろうか?」という社会的な遠慮と、「このままでは指が壊れてしまう」という母親としての恐怖が、私の頭の中で激しくぶつかり合いました。

結局、私は後者の恐怖を選びました。指の色が変わり始めたのを見て、「ごめん、みーちゃん」と謝りながら、震える手で119番を押しました。

救急隊員の方が工具を使って指を解放してくれたとき、涙が止まりませんでした。「大袈裟じゃなかった」という安堵と、みーちゃんの痛みを代わってあげられない無力感に。

この時、私は「自己判断で限界を決めない」という教訓を得ました。


2回目:6月の日曜の朝。異変は「眠気」ではなかった

2回目の救急車要請は、まだそれほど暑くないはずの6月の日曜日の朝でした。散歩から帰宅後、みーちゃんはソファで横になりました。

「疲れたのかな」「眠いのかな」と、私はまた**「大丈夫」という思い込み**に支配されていました。言葉で「だるい」と言えないみーちゃんの不調を、「眠気」として処理してしまったのです。

その時、そばにいたお姉ちゃんが叫びました。

ママ!みーちゃん、唇が紫になってる!

その一言で、私は一気に現実に引き戻されました。ぐったりして意識が朦朧としている娘。顔色の悪さ。これはただ事ではない、熱中症の疑いが強いと直感しました。

あの時、もしお姉ちゃんが気づいてくれなかったら?もし私が「大丈夫」とみーちゃんをそのまま寝かせていたら?

胸が張り裂けそうになるほどの後悔と恐怖の中で、二度目の119番通報をしました。

実務:命を守るために準備しておくべき3つのこと

救急車の中、隊員の方に「通っている病院はありますか?」と聞かれ、私はすぐに〇〇こども病院の名前を伝えました。この時、迅速な連携が取れたことで、いつもの主治医の病院へ向かうことができました。

病院へ着く直前に意識は戻りかけましたが、朦朧としたまま抵抗するみーちゃんは、スタッフの方になすがままに担架で運ばれていきました。検温38.3度。点滴で熱も下がり、意識がしっかりして、歩いて帰れるようになった時には、心底ホッとしました。

この2回の経験から、私たちが事前に準備しておくべきことを3つにまとめました。

実務的な準備なぜ必要か(理由)
かかりつけ病院の明確化**隊員の方への情報提供が最速になる。**日頃の病状や障害特性を把握している病院へ行ける可能性が高まる。
「伝えるべき情報」のメモいざという時、パニックで冷静に話せない障害名、薬、アレルギー、連絡先などを、すぐに渡せるカードやメモにまとめておく。
「救急車を呼ぶ基準」の見直し「大袈裟かな?」という遠慮を捨てる。判断に迷ったら、すぐに専門家(119番)に相談する。言葉で訴えられない子どもの命を守るため、親の判断基準を緩くする。


感情の着地点:「大丈夫」を手放し、命を守り抜く

自閉症や知的障害の子どもを育てる私たちは、常に「他の子と比べて」という社会の目に晒されがちです。そのせいで、「救急車を呼ぶのは大袈裟かも」と、無意識に遠慮してしまうことがあります。

しかし、みーちゃんの経験が教えてくれたのは、**「子どもの命と安全の前では、どんな遠慮も要らない」**ということです。

もし不安になったら、躊躇せず119番に電話してください。大袈裟かも知れませんが、その一歩が子どもの命と、あなたの心を救うかもしれません。

今回は、血の気が引いた経験を共有したくて記事にしました。

ABOUT ME
よかてん
要介護3の母の在宅介護と 発語のない最重度知的障がいの自閉症の娘(みーちゃん:22歳)の支援をしながら暮らす、シングルマザーです。 在宅介護と障がいのある子どもの支援は、日々予想できない出来事の連続です。 母の徘徊、通所の不安定さ、急な休み、家事との両立、制度の複雑さ…… その中で私自身が実際に困ったこと、助けられたこと、工夫して乗り越えてきたことを記録し、同じ悩みを抱える方の助けになればと思い、このブログを始めました。 このブログが、だれかの「今日の悩み」を少しでも軽くし、 安心して介護や育児に向き合えるきっかけになれば幸いです。 お問い合わせやご相談があれば、どうぞお気軽にご連絡ください。