発語なし自閉症の娘に「どれにする?」と選んでもらいたくて、アプリを試作してみた
発語のないみーちゃんと暮らしていると、毎日の中で何度も思うことがあります。
「本当は、どっちがいいんだろう」
「これが食べたいのかな」
「嫌なのかな、それともただ迷っているだけなのかな」
みーちゃんは23歳。
発語はなく、最重度知的障がいを伴う自閉症です。
言葉で「これがいい」「これはいらない」と伝えることはできません。
でも、親としては思うんです。
言葉が出ないからといって、選ぶ気持ちがないわけではない。
伝える方法がないだけで、本人の中にはちゃんと「こっちがいい」があるかもしれない。
そんなことを考えて、今回、みーちゃんに「どれにする?」と選んでもらうためのアプリを試作してみました。
「どれがいい?」と聞きたい場面は毎日の中にある
みーちゃんとの生活の中で、選択が必要な場面はたくさんあります。
たとえば、
- ごはん
- おやつ
- 飲み物
- まだ食べるかどうか
- 何を先に食べたいか
- どちらを選びたいか
こういう小さな選択です。
普通なら「どっちがいい?」と聞けば済むことかもしれません。
でも、発語がないみーちゃんの場合、そう簡単ではありません。
こちらが聞いても、言葉で返ってくるわけではない。
指差しも、いつもはっきり出るわけではない。
その時の体調や気分によっても反応は変わります。
だから結局、私が表情や動きから読み取って、
「たぶんこれかな」
「こっちが好きそうかな」
と判断することが多くなります。
でも、それって本当に本人の希望なのかな。
親が勝手に決めているだけになっていないかな。
そんな気持ちが、ずっとありました。
発語なしでも「選ぶ経験」は増やせるかもしれない
みーちゃんは言葉では話せません。
でも、好きなものはあります。
食べたいものもあります。
嫌なものもあります。
それなら、言葉で答えられなくても、画面を見て選ぶことならできるかもしれない。
そう思いました。
もちろん、すぐにうまくいくとは思っていません。
画面を見せたからといって、すぐに意味を理解できるわけではないかもしれません。
タップすることが「選ぶ」という意味につながるまでには、時間がかかるかもしれません。
それでも、何もしなければ始まりません。
「どれにする?」と聞く場面を、少しでもわかりやすくできたら。
みーちゃんが自分で選ぶ経験を、少しでも増やせたら。
そんな気持ちで、試作品を作ってみました。
試作した「どれにする?」アプリ
今回作ったのは、とてもシンプルなアプリです。
最初に、2択・3択・4択のどれにするかを選びます。
そのあと、食べ物などの言葉を選んで、最後に本人に「どれにしますか?」と画面で見せる形です。
たとえば、
- ごはん
- みそしる
- プリン
- パン
- バナナ
- ラーメン
- ハンバーガー
などを選択肢として出せます。
画面には大きめの文字で表示されます。
最後に選ぶと、「これにします!」と出るようにしました。
まだまだ完璧なものではありません。
本当にみーちゃんに合っているかどうかも、これから使いながら見ていく段階です。
でも、私としては「まず形にできた」ことが大きかったです。
今までは、頭の中でずっと、
「こういうものがあったらいいのに」
「でも私には難しいかな」
と思っていました。
それを、試作品でもいいから作ってみた。
これは私にとって、けっこう大きな一歩でした。
使いたい方は自由に使ってください
このアプリは、みーちゃんのために作った個人的な試作品です。
でも、もし同じように、
「発語のない子に、少しでも選ぶ機会を作りたい」
「食べたいものを画面で選ばせてみたい」
「家庭で簡単に試せるものがほしい」
と思っている方がいたら、自由に使ってもらって大丈夫です。
こちらです。
「どれにする?」アプリを開く必要な時にすぐ開けるように、スマホのブックマークやホーム画面に追加して使ってください。
ただし、これは専門家が作った療育アプリではありません。
あくまで、わが家で試すために作った家庭用の試作品です。
療育効果や意思表示の改善を保証するものではありません。
「こういう方法もあるかもしれない」という、ひとつの工夫として見てもらえたらうれしいです。
個人情報は入力しないでください
使ってもらう場合に、ひとつだけお願いがあります。
名前、住所、支援先、写真、病名の詳しい情報など、個人情報は入力しないでください。
このアプリは、食べ物や好きなものを選ぶための簡単な試作品として作っています。
たとえば、
- パン
- ごはん
- お茶
- りんご
- プリン
- まだ食べる
- おしまい
このような、日常の選択肢を入れる使い方がおすすめです。
お子さん本人の名前や、支援先がわかるような内容は入れない方が安心です。
うまく使えなくても、それで終わりではない
こういうものを作ると、つい期待してしまいます。
「これで選べるようになるかも」
「これで意思表示が増えるかも」
親としては、やっぱり期待してしまいます。
でも、みーちゃんとの生活で何度も感じてきたのは、すぐに結果が出なくても、それは失敗ではないということです。
今日は見ないかもしれない。
今日はタップしないかもしれない。
意味がわからないように見えるかもしれない。
でも、何度か見せているうちに、ふと反応する日があるかもしれない。
「これ、前にも見たな」
「ここを押したら何か起きるんだな」
そんなふうに、少しずつつながっていく可能性もあります。
だから、焦らず試してみようと思っています。
親が決める生活から、少しでも本人が選ぶ生活へ
重度知的障がいがあり、発語がない子との生活では、どうしても親や支援者が決める場面が多くなります。
何を食べるか。
いつ食べるか。
どれを選ぶか。
何をしたいのか。
本人に聞きたいけれど、聞く方法が難しい。
答えを待ちたいけれど、時間に追われて待てないこともある。
私も、毎日の中でたくさんあります。
でも、本当は少しでも本人に選んでほしい。
大きな選択ではなくてもいいんです。
ごはんかパンか。
プリンかバナナか。
まだ食べるか、ごちそうさまか。
そんな小さな選択でも、本人が選べたら、それは大事な意思表示だと思います。
これから少しずつ試していきます
今回作った「どれにする?」アプリは、まだ試作品です。
これから実際にみーちゃんに見せながら、
- 文字は見やすいか
- 選択肢は多すぎないか
- 食べ物以外にも使えるか
- みーちゃんが反応しやすい形は何か
- 絵や写真があった方がいいのか
そういうことを、少しずつ見ていきたいと思っています。
うまくいくかどうかは、まだわかりません。
でも、発語がないからといって、本人の気持ちをあきらめたくない。
言葉で言えないからこそ、別の方法を探していきたい。
そんな思いで、これからも試していこうと思います。
同じように、言葉で伝えることが難しいお子さんと暮らしている方にとって、少しでもヒントになればうれしいです。