23歳のトイトレ。オムツ卒業後も続く、発語なし自閉症娘のトイレ意思表示
みーちゃんは、23歳です。
発語なし、最重度知的障がいのある自閉症です。
トイレについては、過去に本当に長い時間をかけて取り組みました。
オムツ卒業までに、約5年。
最終的に、9歳でオムツを卒業しました。
あの頃の私は、「オムツが外れたらトイトレは終わり」だと思っていました。
でも、今になって思います。
オムツを卒業しても、トイトレは完全に終わったわけではありませんでした。
23歳の今、みーちゃんはまた別の形のトイトレをしています。
それは、
「トイレに行きたい」と自分から伝えるためのトイトレです。
知っている場所なら、自分でトイレに行ける
みーちゃんは、自宅では自分でトイレに行きます。
生活介護の事業所など、勝手を知っている場所でもトイレに行けます。
場所がわかっている。
流れがわかっている。
トイレまでの動きが体に入っている。
そういう場所なら、言葉がなくても自分で動くことができます。
だから、家の中だけを見ていると、
「トイレは自立している」
と言える部分もあります。
でも、外出先では話が変わります。
ショッピングセンター、外食先、初めて行く場所。
トイレに行きたくなっても、どこにトイレがあるのかわからない。
そして、みーちゃんは言葉で
「トイレに行きたい」
とは言えません。
外出先では、こちらが気づけるかどうかにかかっている
外出中、みーちゃんがトイレに行きたい時は、はっきりした言葉では出ません。
そわそわする。
席を立つ。
いつもと違う声が出る。
落ち着かない動きが増える。
みーちゃんをよく知っている人なら、
「もしかしてトイレ?」
と気づけることがあります。
でも、正直に言うと、私でもわからない時があります。
機嫌が悪いのか。
待ち時間が嫌なのか。
お腹が痛いのか。
トイレなのか。
発語がないと、こちらが読み取るしかありません。
そして、読み取りが遅れれば、失敗につながるかもしれません。
私は、みーちゃんに漏らして失敗する経験をできるだけさせたくありません。
失敗したからダメ、という意味ではありません。
本人が不快な思いをする。
外出先で慌てる。
着替えや片付けが必要になる。
その場所が嫌な記憶になる。
そういう経験を、できるだけ減らしたいのです。
オムツ卒業とは別の難しさがある
オムツを卒業する時のトイトレは、
「トイレで排泄する」
ことが目標でした。
でも、今取り組んでいるのはそこではありません。
今のみーちゃんに必要なのは、
トイレに行きたい時に、誰かに伝える方法です。
これは、また別の難しさがあります。
トイレでできる。
でも、トイレの場所がわからないと行けない。
トイレに行きたい気持ちはある。
でも、それを人に伝える方法がない。
ここが、今のみーちゃんの課題です。
だから私は、23歳の今も「トイトレ」をしている感覚があります。
今取り組んでいること
今、外出時のトイレ意思表示のために取り組んでいることが3つあります。
ひとつめは、手話のトイレサインです。

トイレに行くたびに、私がトイレの手話サインを見せています。
みーちゃんも、真似はしてくれます。
でも、まだ自分からサインを出すところまではいっていません。
こちらが見せれば真似できる。
でも、自分から「トイレに行きたい」と出すのは別の力が必要です。
ふたつめは、車の中のトイレカードです。
車で移動している時にそわそわしたら、目の前に「といれ」とわかるカードがある。
言葉やサインが出なくても、カードを見たり、触ったり、叩いたりして伝えられないかと思っています。
みっつめは、外食時のホワイトボードです。
外食中、テーブルの上に小さなホワイトボードを置いています。
そこに「といれ」と書いておく。
行きたい時に、指差しでも、トントンでもいい。
何かしらの形で伝えられるきっかけになればと思っています。
まだ自発的なサインは出ていない
今のところ、みーちゃんから自分でトイレサインが出たことはありません。
真似はしてくれます。
こちらが促せば、手を動かすこともあります。
でも、自分から出すところまでは、まだです。
正直、オムツ卒業のトイトレと同じように、今回も終わりが見えません。
オムツ卒業まで5年かかったみーちゃんです。
今回の「意思表示のトイトレ」も、年単位になるかもしれません。
それでも、やらないよりはやってみたい。
今すぐできなくても、毎回同じサインを見せる。
同じカードを置く。
同じ言葉を使う。
その積み重ねが、いつかどこかでつながるかもしれないと思っています。
できないことではなく、伝える方法を探している
発語がないと、どうしても
「言えない」
「伝えられない」
という見方になりがちです。
でも、みーちゃんは何も伝えていないわけではありません。
そわそわする。
席を立つ。
声が変わる。
表情が変わる。
動きが変わる。
それも、みーちゃんなりのサインです。
ただ、そのサインは周りに伝わりにくい。
特に外出先では、私でも見逃すことがあります。
だから今は、みーちゃんが悪いのではなく、
みーちゃんに合う伝え方を一緒に探している途中
だと思っています。
23歳のトイトレは、終わりが見えない
子どもの頃のトイトレは、いつか終わるものだと思っていました。
でも、重度知的障がいと自閉症があるみーちゃんの場合、
「トイレでできるようになる」
だけでは終わりませんでした。
場所が変われば、また難しくなる。
伝える方法が必要になる。
本人の不快や失敗を減らすために、親が環境を整える必要がある。
23歳の今も、トイトレは続いています。
ただ、昔と少し違うのは、私の気持ちです。
昔は、早くできるようになってほしいと思っていました。
今は、みーちゃんが困らない方法を、ひとつでも増やしたいと思っています。
手話でもいい。
カードでもいい。
ホワイトボードでもいい。
指差しでも、トントンでもいい。
「トイレに行きたい」が、少しでも本人から伝えられるように。
終わりはまだ見えません。
でも、今日もまたトイレに行くたびに、私は同じサインを出しています。
いつか、みーちゃんのほうから出してくれる日が来るかもしれない。
そう思いながら、23歳のトイトレを続けています。
手話サインを続けるために参考にしている本
今、通所している生活介護事業所の支援員さんから教えていただいた本。
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難しい手話をたくさん覚えるためではなく、まずは「トイレ」「ごはん」「おふろ」など、毎日の生活に関係するサインをひとつずつ取り入れるためです。
みーちゃんの場合も、すぐに自発的なサインが出るわけではありません。 それでも、毎回同じサインを見せることで、いつか本人の中でつながるかもしれないと思っています。