成年後見人ができること・できないこと|母の口座を1本にまとめる前に調べたこと
母の後見人になって、初回報告もやっと終わりました。
次にやりたいのが、バラバラになっている母の銀行口座を1本にまとめることです。使っていない口座や、遺族年金だけ別の口座に入る状態を、メイン口座に集約したいと思っています。
今までなら、こういう手続きは母を連れて行かないとできませんでした。でも後見人になった今は、私だけで進められるはずです。
やる前に、後見人が何をできて、何をできないのかを調べてみました。同じように「後見人になったけど、次に何ができるの?」と思っている方の参考になればと思います。
この記事でわかること。
- 後見人ができること(契約・解約・口座の手続き)
- 後見人でもできないこと、家庭裁判所の許可がいること
- 口座を1本にまとめるときの手順と、遺族年金だけ気をつける点
委任状じゃダメなの?と思ったけど、認知症だと使えなかった
最初に思ったのは「委任状を書いてもらえば、私が代わりにできるんじゃない?」ということでした。
でも調べたら、これはダメでした。
委任状は、本人にしっかりした判断能力があることが大前提です。法律では、判断能力(意思能力)がない人がした契約や委任は無効とされています。
つまり、認知症で判断能力が下がった母は、そもそも有効な委任状を作れません。仮に用意しても、銀行が本人の状態を知れば手続きは通りません。
「委任状を書いてもらって代わりに」は、元気なうちしか使えない方法だったのです。
じゃあ本人を連れて行けばいい?と思いますが、これも認知症が進むと難しいようです。銀行の窓口では意思確認が厳しくて、本人が受け答えできないと、その場で手続きが止まってしまうこともあるそうです。
だから、後見制度があります。これが「なんで後見人にならないといけなかったのか」の答えでした。
そもそも後見人は何ができる?
委任状なしで契約・解約ができる
後見人には「代理権」というものがあります。これは母に代わって、契約や解約を私ができる権利のことです。
しかも包括的な代理権なので、ひとつひとつの手続きに母の委任状はいりません。
具体的にできること。
- 施設や介護サービスの契約
- 各種契約の解約(使っていないサブスクや保険など)
- 銀行での入出金、定期の解約、口座の解約
- 保険や給付金の請求・申請
今まで母を連れて行かないとできなかったことが、私ひとりでできるようになります。これが後見人になって一番大きい変化だと思います。
母が結んでしまった不利な契約は取り消せる
もうひとつが「取消権」です。母が誰かと結んでしまった不利な契約を、あとから取り消せる権利です。
たとえば訪問販売で高額なものを買わされてしまっても、後見人が取り消せます。相手が「本人が後見を受けていると知らなかった」場合でも取り消せます。
認知症の親を狙った契約トラブルへの、防御になってくれます。
後見人でも「できないこと」もあった
なんでもできるわけじゃありませんでした。ここは正直、意外でした。
家庭裁判所の許可がいること
自宅の売却・賃貸・担保に入れることは、後見人だけでは決められません。家庭裁判所の許可が先に必要です。
母の住まいに関わることは、勝手に動かせないようになっています。
そもそも代理できないこと
- 結婚・離婚・養子縁組
- 遺言を書くこと
こういう「本人の気持ちで決めるべきこと」は、後見人でも代理できません。財産の管理はできても、生き方そのものは代われない、ということだと思います。
医療の同意はグレーらしい
手術などの医療行為に同意する権限は、後見人にはっきり与えられているわけではないそうです。※ここは病院や施設で運用が違うようなので、実際にその場面になったら主治医に確認する必要がありそうです。
日用品の買い物までは取り消せない
母が自分で買った日用品まで、いちいち取り消すことはできません。日常のちょっとした買い物は、本人の自由として残されています。
口座を1本にまとめる手順を調べてみた
本題の、口座のまとめ方です。
まず銀行に「後見の届出」をする
いきなり解約に行くのではなく、まず銀行に「後見の届出」をします。
「後見の届出」とは、銀行に「私が後見人です」と登録してもらう手続きのことです。母が後見を受けていることを、銀行はまだ知りません。だからこちらから届け出て、登録してもらう必要があります。
これをして初めて、口座が私の管理下になり、私が母の口座を動かせるようになります。正直、私もこの手続きが必要なことを知りませんでした。いきなり解約に行っても、まずここから、ということみたいです。
届出のときに必要そうな書類。
- 後見登記事項証明書(後見人であることの証明書。法務局で取る)
- 私(後見人)の本人確認書類
- 母の通帳・キャッシュカード
- 届出印
※必要書類や、証明書の有効期限(3か月なのか6か月なのか)は銀行によって違うみたいです。動く前に取引店に電話で確認するのが確実そうです。
届出のあとは、母本人のキャッシュカードやネットバンキングは使えなくなるそうです。これは、私の知らないところで引き出されるのを防ぐためとのことでした。
そうなると、日常の引き出しをどうするかが気になります。銀行によっては、後見人が使える代理人カードを発行してもらえるようなので、届出のときにあわせて相談しておくと安心そうです。
使っていない口座はメインへ集約でOK
使っていない普通預金の口座は、解約してメイン口座にまとめて問題なさそうです。ここはシンプルに進められそうです。
遺族年金の口座だけは順番に注意
ひとつだけ気をつけたいのが、遺族年金が入ってくる口座です。
遺族年金の受取口座を変えるには、年金の受取機関の変更手続きを別に行う必要があります。これは後見人が手続きできます。
しかも後見人がついている場合は、通常の届出ではなく、後見人専用の申出書を使います。正式名称は「年金受給権者 通知書等送付先・受取機関・口座名義変更申出書(成年後見人等用)」という長い名前です。日本年金機構のサイトからダウンロードできるほか、ねんきんダイヤルに電話すれば郵送してもらえるそうです。記入して、後見登記事項証明書と変更後の口座がわかるものを添えて、年金事務所か街角の年金相談センターに提出する流れになります。
大事なのは順番です。
- 先に受取機関の変更申出書を出す
- 新しい口座に年金が入るのを確認する
- それから旧口座を解約する
先に旧口座を解約してしまうと、年金の行き先がなくなってしまいます。
※日本年金機構も「次の支払日の1カ月以上前までに手続きを」「新しい口座への入金を確認するまで旧口座はそのままに」と案内しています。焦らず順番を守りたいと思います。
これなら私ひとりでできそう
ここまで調べて、だいたいの流れが見えてきました。
委任状も本人同行もいりません。登記事項証明書を持って後見の届出をして、順番を守って解約していく。思っていたより、私ひとりで進められそうです。
後見人になると「次は何ができるの?」と手探りになりますが、口座まとめはその最初の一歩にちょうどいい手続きだと感じました。同じ立場の方の参考になれば嬉しいです。
※後見人の権限や制度の内容は法律で決まっていますが、銀行や自治体ごとに必要書類・手続きが異なる場合があります。実際に手続きされる際は、取引銀行・年金事務所・家庭裁判所など、それぞれの窓口で最新の情報をご確認ください。