外食する場所を選ぶとき、私がいちばん先に考えるのは、トイレのことです。

うちの娘みーちゃんは、重度の自閉症があります。ほとんど言葉がなく、意思表示もないため、体調が悪いときも痛いのか、気持ち悪いのかを言葉で伝えることが難しい娘です。

そんな娘と外に出るとき、私が選ぶのはショッピングセンターのフードコートです。

たまには違うお店にも行きたいと思う時もあります。でもフードコートを選ぶのには、私たちなりの理由があります。

この記事では、娘との外食で私がトイレの数を気にする理由、あせらないための場所選び、バリアフリートイレのこと、そして遠出のときに知っておきたいカームダウン・クールダウンスペースについて書きます。

「行ける場所が限られる」と感じている方に、少しでも届けばと思います。

娘のトイレは、長くなる日があります

みーちゃんは、トイレに時間がかかる日があります。

いつもではありません。でも、月に何日か、ふだんよりずっと長くなる日があります。

生理前の不快感なのかもしれません。本人に確かめられないため、私が様子を見てそう感じているだけです。はっきりした理由は、正直わかりません。

わかっているのは、そういう日は待つしかない、ということです。

トイレがひとつしかないお店には行けません

トイレがひとつしかないお店で、娘が長く入っていたらどうなるか。

外には人が並びます。「待たせている」という空気が、扉ごしにこちらまで伝わってきます。

そうなると、私があせります。

トイレの数が少ない場所では、娘と一緒に入ることが多いです。ひとりで入らせて、外で長く待つ状況を避けるためです。

そのぶん、狭い個室に二人で入らなければなりません。私が娘に声をかけるのは、「終わったら出ようね」です。

急がせるためではなく、次にどうするかを伝えるための声かけです。落ち着いて言えれば、娘も落ち着いていられます。

でも、外に人が並んでいると思うと、その声かけを続ける私自身が落ち着いていられません。

だから私は、最初からそういう状況になりにくい場所を選ぶことにしました。

フードコートを選ぶのは、あせらなくていいから

ショッピングセンターのフードコートなら、トイレが複数あります。

一つの個室を長く使っていても、すぐ後ろに列ができるとは限りません。私があせらずに、「終わったら出ようね」と声をかけられます。

娘がひとりで入れる日は、出入りを見守れる範囲で外で待ちます。本人のペースに任せられることが、娘にとっても私にとっても大切です。

これが、私がフードコートを外食先に選ぶ理由です。

フードコートに入っているお店・メニューも大事ですが、それよりも娘があせらずにトイレを済ませられる場所を選んでいます。

フードコートは家族連れが多く、子どもの声もあちこちから聞こえます。みーちゃんが少し声を出しても、静かなお店ほど目立ちません。

トイレのことだけではなく、この気楽さもフードコートを選ぶ理由のひとつです。

意思を伝えることが難しい娘に、私がしてあげられることは、環境を整えることだと思っています。

言葉で安心させることには限界があります。だったら、最初から急がなくていい場所に連れて行く。それが、いまの私にできることです。

バリアフリートイレは、付き添いや介助が必要なときに使っていい

以前は、広い個室のトイレを使うことに、少しためらいがありました。

でも、バリアフリートイレは車いすの方だけのためのものではありません。見守りや介助が必要な人、異性の付き添いが必要な人、広いスペースが必要な人も利用することが想定されています。
国土交通省「みんなで知ろう! バリアフリートイレのこと」

みーちゃんに付き添いが必要なとき、狭い個室では難しいときに、私が一緒に入るために使うのは、うしろめたいことではありませんでした。

もちろん、そのトイレでなければ困る方もいます。必要なときに、必要な時間だけ使うことを忘れないようにしています。

広い個室なら、私もそばで待てます。狭い場所で無理に急がせなくていいことが、私たちには大きな安心です。

カームダウン・クールダウンスペースを調べてみました

もうひとつ、外出先で助けになりそうな場所があります。

「カームダウン・クールダウンスペース」は、外の音や視線をいったん避けて、気持ちを落ち着かせるための場所です。発達障害、知的障害、精神障害、認知症などがあり、静かな場所で落ち着く必要がある人の利用が想定されています。

パニックが起きたあとだけではなく、「静かなところに行きたい」と感じたときに使い、パニックを未然に防ぐ目的もあります。

同伴者と二人で過ごすことを想定した事例もあります。親子で使ってよい場所があると知って、少し安心しました。
交通エコロジー・モビリティ財団「カームダウン・クールダウンについて」

独立した個室型の「カームダウン・クールダウン室」もあれば、カーテンやパーティションで区切られた「カームダウン・クールダウンスペース」もあります。

全国に広がり始めているけれど、身近な場所ではまだ少ない

カームダウン・クールダウンスペースは、全国の空港や大規模な施設を中心に、少しずつ設置が進んでいます。

ただ、どこにでもあるわけではありません。

私が娘とふだん行くのは、空港や大きな会場ではなく、近所のショッピングセンターです。そこには、まだこうしたスペースはありません。

また、設置されていても、改札や保安検査の内側など、利用できる人が限られる場所にある場合もあります。

遠出をするときは、行き先の公式サイトで「カームダウン」「クールダウン」「バリアフリー」と検索し、場所と利用条件を確認しておくと安心です。

ふだんの買い物では、まだ自分たちで環境を選ぶしかありません。

トイレの数が多い。席を確保して待てる。家族連れが多い。少し声が出ても、私があせらずにいられる。

私たちにとっては、そんな条件がそろう場所が、外食を楽しめる場所です。

外出先を決めるときの、私の順番

私が外食先を選ぶときに考えていることを、短くまとめます。

  • トイレの個室が複数あるか
  • 席を確保して待てるか
  • 家族連れが多く、娘が声を出しても目立ちにくいか
  • バリアフリートイレがあるか
  • 遠出のときは、カームダウン・クールダウンスペースがあるか

全部そろう日ばかりではありません。

それでも、この順番で考えるようになってから、外食先で迷うことが減りました。

あせらなくていい場所を選ぶ。

それだけで、娘との外出はずいぶんラクになります。

今日もまた、トイレの数を数えながら、どこでごはんを食べようかと考えています。

関連記事