介護認定の調査で、本人が「できる」と答えてしまう。家族なら一度は経験することだと思います。

この記事では、認知症の母の認定調査、3回分の記録をまとめました。要介護2のまま変わらなかった1回目、要介護3になった2回目、要介護4を希望して結果が要介護5だった3回目。それぞれで調査員さんに何を見られたのか、家族がどう伝えたのかを書いています。

これから認定調査を受ける方が、「うちの場合はどう伝えればいいか」を考える材料になれば幸いです。

認定調査で見られる5つの領域

介護認定調査は、以下の基本調査に基づき評価されます。

  • 身体機能・起居動作(歩行、起き上がり、移乗など)
  • 生活機能(食事、排泄、着替え、身だしなみ)
  • 認知機能(短期記憶、日時の理解、意思伝達)
  • 精神・行動障害(徘徊、抵抗、不安定な感情)
  • 社会生活への適応(服薬管理、外出、金銭管理)

質問自体は短くても、見守り量と安全性まで含めて判断されます。

排泄・移動・食事などの日常動作については、「介助なし」「一部介助」「全介助」のいずれかにチェックが入ります。

【1回目】要介護2のまま。母は「できる」と答えた

2025年が始まった頃、母の状態が以前より進み、要介護2のままでは支援が追いつかなくなってきたので、再認定したい旨をケアマネージャさんに伝えました。

調査員さんが来る日程が決まり、「可能であれば立ち会ってください」と案内があり、普段の様子を一番近くで見ている者として、私が1回目の認定調査に立ち会うことにしました。(立会が無理ならケアマネージャーさんが立ち会ってくれるとのこと)

現状をそのまま正確に伝える。それが、必要な支援を受けるために欠かせないと感じたからです。

「お手洗いはひとりでできますか?」

調査員から問われた際、母は迷いなく「できる」と答えました。

しかし実際には、

  • リハパンの履き忘れがある
  • トイレまでの歩行は不安定
  • 後処理は介助が必要

一度できても「常にできる」とは言えません。家族が補足しなければ、介助量が少なく見積もられてしまう危険があります。

生活上の危険は増えていた

排泄以外にも、認知機能の低下が日常に表れていました。

  • IHやレンジの切り忘れ
  • エアコン操作が難しくなる
  • 玄関から入った野良猫を風呂場に閉じ込めてしまう(詳細は書けませんが大変でした)

普段なら「逃がす」という判断ができていたはずです。安全に生活できる力が弱まっていると感じていました。

できるだけ正確に伝えるために、ヘルパーさんが毎日書いてくださっている共有ノートも見てもらいました。常時介護や見守りが必要なことは理解してもらえましたが「介助が必要でもトイレに一人で歩いて行けるなら『できる』になります」の言葉に、要介護3への道のりは遠いと感じました。

結果:要介護2のまま

判定は要介護2のまま。

「これで要介護2なのか……」

日々の介助量から考えると支援が不足してしまう現実に、正直なところ落胆が大きかったです。

朝と夕方に1日2回の介助が必要で、ヘルパーさんが来ない日は私がみーちゃんを連れて訪問しなければ生活が成り立たない状況。このまま支援量が変わらない不安と、自分自身の限界が近づいているのではないかという焦りがありました。

制度上の数字が示す状態と、家族が担っている現実の介護量には大きな差があると痛感しました。

【2回目】要介護3へ。前回の調査から何が変わったのか

2回目の再認定では、立会いをケアマネージャーさんにお願いしました。結果は要介護3。前回との違いを書きます。

前回の申請で認定されなかった理由

前回は、母にまだ「自分でできること」がいくつか残っていました。

  • うどんやゆでたまごなど、簡単な調理をIHやレンジで一応は自分でできた
  • トイレも声かけで間に合うことが時々あった
  • 調査員や主治医と会話ができる場面があった

「まだ自分でできる」という部分が残っていたため、要介護3の認定には至りませんでした。

今回認定された理由。何が変わったのか

今回は、日常生活のほぼすべての場面で状況が大きく変化していました。

  • 食事面:目についたものを次々と口にし、食べた直後の記憶が残りません。レンジに入れたものを出し忘れたり、IHの消し忘れで鍋を焦がしたりと、自分で調理できなくなりました。
  • 歩行面:膝の痛みと足のむくみで歩行が不安定になり、主治医から「転倒すれば歩けなくなる」と注意を受けています。
  • 排泄面:トイレの感覚がほとんどなく、リハパンが欠かせません。夜間の尿漏れも増え、防水シーツまで濡れてしまうことが多くなりました。
  • 入浴面:デイサービスでお願いしていますが、思い立ってひとりで入ってしまうことがあり、足が上がらず浴槽から出られなくなったこともありました。(ヘルパーさんが来て運よく発見)

認定の決め手は「認知面の変化」だった

今回の認定では、主治医からも「認知がかなり進んでいる」と指摘がありました。

身体の痛みやむくみよりも、食事の暴食・トイレの失敗・記憶の消失など認知面の変化が大きな要因になったと感じています。

「できなくなったこと」が日常の中で確実に積み重なっていた期間でした。

要介護3になって変わったこと

要介護3になったことで、ヘルパーさんが入れる時間が増える見込みです。母の「できること」を大切にしながら、私自身の負担も少しずつ整えていく予定です。

一般的に、要介護3は「特別養護老人ホーム(特養)への入所が可能になる目安」とされています。常時何らかの介助が必要な段階という意味です。ただ、私の願いはすぐに施設へ預けることではありません。ヘルパーさんやデイサービスに支えてもらいながら、母が慣れ親しんだ家で過ごす時間を少しでも長く保ちたいと思っています。

区分変更を申請した経緯と、主治医から聞いた母の状態は、別の記事に書いています。

👉 【認知症】介護点数が足りない!要介護2の限界で「要介護3」区分変更申請を依頼した経緯と主治医の診断

【3回目】要介護4を希望。調査で重視されたのは「排泄」と「認知」

2026年1月、要介護4への認定調査を受けました。ケアマネさんにも立ち会ってもらい、今の生活の様子を確認していただきました。

実際に調査を受けて感じたのは、要介護4の判断では「排泄」と「認知」の状況がとても重視されているということでした。

自宅トイレは使えず、ポータブルトイレを使用している状態

母は現在、歩行ができない状態です。そのため、自宅のトイレまで移動することはできません。ベッドの横にポータブルトイレを設置し、移乗は介助が必要な状況です。

排泄については、次のような状態です。

  • 排便:まだ便意がある
  • 排尿:尿意を感じにくい

そのため、現在は排便のみポータブルトイレを使用しています。体調が良い時は、ひとりでポータブルトイレに移乗する時もあります。

認定調査を受けて感じたのは、排尿までポータブルトイレで対応している状態かどうかが、要介護4の判断において、大きなポイントになっていそうだということでした。

認知機能の調査で見られた点

母は、

  • 自分の名前は言える
  • それ以外の質問には、うまく答えられない

という状態です。

認定調査の中では、

  • 「家に帰る」と繰り返し話す
  • ケアマネさんを、私(よかてん)と間違える
  • ヘルパーさんのことを「お友達が来た」と認識する

と実際にあったことを伝えました。季節を聞かれる質問では、「秋」と答えていました。

食事も介助が必要な状態

嚥下は問題ありませんが、一人でスプーンやお箸を持つことができないことが多いです。スプーンやお箸を持たせると、自分で食べられる場面もありますが、安定して一人で食事を完結できる状況ではありません。

結果:要介護4を飛ばして、要介護5

先日、母の認定通知書が届きました。結果は、要介護3から要介護5へ。

数字を見たときは正直驚きました。でも振り返ると日々の介護量はすでに増えており、認定は現実に追いついた、という印象もあります。

認定調査の時点での母の状態は、次のとおりです。

  • 認知:自分の名前のみ言える
  • 排尿:常時リハパン(オムツ)
  • 排便:ポータブルトイレを使用することもある
  • ポータブルトイレや車椅子への移乗は全介助
  • 食事も日によっては、全介助になることがある
  • 歩行:不可
  • 座位:何とか保持可能

これらを総合して、要介護4を超え、要介護5になったのだと思います。

3回の調査でわかった、家族の伝え方

3回の調査を振り返って、家族側で気をつけてよかったことをまとめます。

  • 本人が「できる」と答えたら、その場で「一度できても常にできるわけではない」と補足する
  • ヘルパーさんの共有ノートなど、日々の記録を調査員さんに見てもらう
  • 主治医には診察の度に普段の様子を伝えておく(介護認定調査の診察は家族は診察室に入れず、本人のみ診察室に)
  • 認定調査員の立会いは、知識豊富なケアマネージャーさんにお願いするほうが良い

要介護5になっても、生活は急には変わらなかった

要介護4を飛ばして、要介護5になったことには正直驚きました。でも、要介護5になったからといって、私たちの生活が急に大きく変わったわけではありません。

認定通知が届いた日、ケアマネさんから電話がありました。

母が朝食と昼食を嘔吐し、検温すると38度あったとのこと。ただし、便に問題はなく、テレビを見て笑っている時間もあり、本人は「食欲あるよ」と話している状況でした。念のため、食事はお粥や林檎のすりおろしなどの消化しやすいものに変更するとの判断です。

本来なら、私がすぐに向かいたいところです。しかし、みーちゃんの結膜炎が移り、私は右顔面が腫れて視界が悪く、車の運転ができない状態。

在宅介護は「家族がいるから大丈夫」と思われがちですが、家族も体調を崩すことがあります。すぐに動けない日がある。それも現実です。

ヘルパーさんは薬を買えない。ケアマネさんなら可能

ケアマネさんから、「カロナールなどの解熱剤があれば」との話がありました。母宅には常備薬がなかったため、購入をお願いできるか確認したところ、

  • ヘルパーさんは薬品の購入は不可
  • ケアマネさんであれば可能

とのことでした。最終的に、カロナールと冷えピタの購入をケアマネさんにお願いしました。

よかてんのひとりごと

前回「まだ要介護2です」と言われたとき、正直ほっとした部分もありました。でも要介護3の認定が下りたとき、「ここまで来たか」という気持ちの方が大きかったです。

認定が上がることを喜べない複雑さ——介護をしている方なら、わかっていただけるのではないかと思います。

認定調査が終わったあと、ケアマネさんと今後のことについて少し話しました。

特養については、やはりどこでも順番待ちになるとのこと。私が通いやすい自宅近くの特養を申し込み、それまでは在宅介護を続ける方向で考えることになりました。ケアマネさんからは、「まだまだ自宅で大丈夫ですよ」と言ってもらいました。

数日前、母が一人でベッドから降りてしまい、戻れなくなったことがあったそうです。翌朝ヘルパーさんが来たときには、床に座り込んでいたと報告がありました。暖房は24時間つけているため、生死に関わるような状況ではありませんでしたが、「床で座り込んでしまった時に、寒いと感じたときに使えるよう、毛布を手の届くところに置いておきましょう」とアドバイスをもらいました。

「生死に関わる問題でなければ、ヘルパーさんの力を借りながら在宅介護を続けていく」そのくらいのスタンスでいいのだと思えました。

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ABOUT ME
よかてん
要介護5の母の在宅介護と発語のない最重度知的障がいの自閉症の娘(みーちゃん:23歳)の支援をしながら暮らす、シングルマザーです。 在宅介護と障がいのある子どもの支援は、日々予想できない出来事の連続です。 母の徘徊、通所の不安定さ、急な休み、家事との両立、制度の複雑さ…… その中で私自身が実際に困ったこと、助けられたこと、工夫して乗り越えてきたことを記録し、同じ悩みを抱える方の助けになればと思い、このブログを始めました。 このブログが、だれかの「今日の悩み」を少しでも軽くし、安心して介護や育児に向き合えるきっかけになれば幸いです。 私自身は、3年程お休みしていた訪問介護の仕事を再開しました。 お問い合わせやご相談があれば、どうぞお気軽にご連絡ください。