視覚支援がうまくいかない…と悩むお母さんへ
みーちゃんも、最初は“現物を見せてもぽかーん”からのスタートでした。
みーちゃんが4歳の頃PECS療育に通った1年間。
写真カードで伝える練習を続けましたが、なかなか理解が進まず、最初の支援は「現物提示」から始まりました。
トイレに誘うときはオムツ、お風呂のときはパジャマ、ごはんのときはお茶碗、おやつは専用のお皿。
ドライブは車のカギ、散歩は靴、着替えは服──そんなふうに、行動に直結する“本物”を見せながら伝えていました。
最初のころは、現物を見せても「……?」という表情ばかりでしたが、
根気よく続けていくうちに、少しずつ反応が変わっていきました。
発達が特に遅いみーちゃんの場合、現物提示で行動できるようになるまでに、約10年かかりました。
現物提示から言葉へ、そして今
研究では、視覚支援は「写真 → 絵カード → 文字 → 言葉」の順で進むとされています。
けれど、みーちゃんには「現物」から始める方が合っていました。
現物提示と同時に声かけを続けたことで、
ごはん・お風呂・お出かけなど、毎日の行動は今では言葉だけでも理解できるようになりました。
それでも、写真カードへの移行は難しく、22歳の今も“絵より実物”のほうが理解しやすいようです。
外出時のトイレカードも、本人から提示することはなく、
私が「トイレ行くよ」と声をかけながらカードをトントンと指差す──そんなサポートが続いています。
いまの「現物提示」
ごはんやお風呂などの生活動作は言葉で理解できるようになりましたが、
一日のスケジュールは、ホワイトボードより“かばんの色”で判断しています。
- ピンクのスポーツバッグ:通所の日
- 水色のスポーツバッグ:ショートステイの日
- 黒の斜めがけバッグ:お出かけの日
おやつを選ぶときも、「どっちがいい?」と現物を見せて選んでもらいます。
カードより早く、確実に伝わります。
自分で選ぶ力
コンビニでは「好きなの選んでいいよ」と伝えると、
みーちゃんはしっかり“好き”を選びます。
お菓子なら「じゃがりこ」や「ポテトチップス」。
最近は冷凍フルーツの棚で「いちご」を取ることもあります。
ときどき“辛い麺”を選んで後悔していることもありますが(笑)、
「自分で決める」体験が増えてきたのは、大きな変化です。
伝わり方に“正解”はない
支援の順序や方法には“理論上のモデル”があります。
でも、子どもによって「理解の入口」はそれぞれです。
現物から入ることも、視覚支援には変わりありません。
この子にはこの子のスピードがあります。
焦らず、人と比べず(←ここ結構重要)笑いながら続けていけば、
その子なりの理解の形が、ちゃんと見えてきます。子どもの力を信じてください。
