親の葬儀代が払えない時の4つの方法|自己負担ゼロ・後払い・仮払い制度
親の葬儀代が用意できない。
言いにくいことだと思います。でも、めずらしいことではありません。私も母の後見人として調べていて、同じ壁にぶつかりました。
結論から書きます。お金がなくても、親を見送る方法はあります。
- 条件が合えば、自己負担ゼロで火葬できる制度があります
- 手元に現金がなくても、後払い・分割に対応している葬儀社があります
- 亡くなったあとでも、故人の口座から最大150万円引き出せる制度があります
- 申請すれば数万円が戻ってきます
この記事では、この4つを順番に説明します。急いでいる方は、次の章だけ先に読んでください。
葬祭扶助は「誰が困っているか」で結論が変わります
まずここから。急ぐ理由があります。
生活保護には葬祭扶助という制度があります。福祉葬、民生葬、生活保護葬とも呼ばれます。
制度で決められた範囲でおこなうので、自己負担はゼロになります。お金は喪主ではなく、自治体から葬儀社に直接支払われます。
ここを誤解している人が多いです
「親が生活保護だったから、うちは自己負担ゼロ」ではありません。
対象になるのは、次のどちらかです。
- 葬儀を行う人(喪主)が生活保護を受けているなど、費用を負担できない場合
- 故人が生活保護受給者で、葬儀を行う扶養義務者がいない場合(民生委員や家主、施設が手配することを想定した仕組みです)
つまり、母が生活保護を受けていても、子である私に支払い能力があると判断されれば、葬祭扶助は使えません。私が払うことになります。
それから、故人に預貯金が残っていた場合は、まずそこから葬儀費用を出します。足りない分だけが支給されます。
ここを知らずに葬儀社へ電話すると、話が食い違います。
支給される金額
国が決めている基準額は、2026年4月からこうなっています。
| 級地 | 大人 | 小人 |
|---|---|---|
| 1級地・2級地 | 222,000円以内 | 177,600円以内 |
| 3級地 | 194,300円以内 | 155,400円以内 |
「以内」です。実際にいくら出るかは、自治体の判断で決まります。正確な金額は窓口で確認してください。
ここだけは間違えないでください
葬祭扶助は、葬儀の前に申請しないと受けられません。
先に葬儀を済ませてしまうと「支払える資力があった」と判断され、あとから申請しても通らないことがあります。
連絡先は、お住まいの市区町村の福祉課、または担当のケースワーカーです。葬儀社に連絡する前に、まずここへ電話してください。
できるのは直葬(火葬式)のみです。通夜も告別式もありません。読経や戒名は範囲外なので、必要なら自己負担になります。
それでも、きちんと火葬してお骨を受け取れます。
葬祭扶助を使うと、葬祭費はもらえません
あとで説明する葬祭費(健康保険から出るお金)と、葬祭扶助は両取りできません。
生活保護を受けている人は、国民健康保険や後期高齢者医療制度の対象から外れています。だから葬祭費の支給もありません。
実際にいくらかかるのか、正直な数字を書きます
鎌倉新書の「第7回お葬式に関する全国調査」(2026年)によると、葬儀費用の総額は96.73万円でした。この調査は中央値で集計されています。
種類別に見ると、こうなっています。
| 葬儀の種類 | 総額(中央値) |
|---|---|
| 一般葬 | 122.01万円 |
| 家族葬 | 96.39万円 |
| 一日葬 | 74.43万円 |
| 直葬・火葬式 | 49.56万円 |
ここで正直に書いておきたいことがあります。
葬儀社のプラン料金と、実際にかかる総額は違います。
直葬のプランは10万円台からありますが、実際に直葬をした人の中央値は49.56万円です。差が出るのは、火葬場の使用料、安置日数の延長、搬送距離の超過、骨壺などが別に乗ってくるからです。
しかも、この総額の内訳は「基本料金・飲食費・返礼品費」です。お布施は含まれていません。お寺にお願いするなら、さらに上に乗ります。
「10万円台で済む」と思って動くと、現場で足りなくなります。プラン料金は下限であって、総額ではありません。
それでも、直葬なら一般葬の半分以下です。参列者を呼ばないので、飲食も返礼品もいりません。平均額を押し上げているのは、この部分です。
「そんな簡単に済ませていいのか」と思うかもしれません。私も最初はそう思いました。
でも、母は在宅で寝ている時間がほとんどです。外に出る機会も、会う人も、そう多くありません。無理をして大きな葬儀をあげることが、母のためになるとは思えませんでした。
故人の口座から、最大150万円まで引き出せます
「親の口座は凍結されるから使えない」と思っている方が多いです。私もそうでした。
でも、仮払い制度があります。民法909条の2という決まりです。
遺産分割の話し合いが終わっていなくても、相続人が一人で銀行の窓口で手続きできます。家庭裁判所の許可もいりません。
引き出せる金額は、こう計算します。
亡くなった時点の口座残高 × 3分の1 × 自分の法定相続分
計算は口座ごと。ただし1つの金融機関から引き出せるのは、最大150万円までです。
たとえば相続人が子ども2人(法定相続分は各2分の1)で、残高が600万円なら100万円まで。900万円以上あれば上限の150万円です。
この150万円という金額は、もともと当面の生活費や葬儀費用をまかなえる額として設定されたものです。制度が最初から葬儀代を想定しています。
ただし、すぐには下ろせません
ここは正直に書きます。
窓口で必要になるのは、故人の出生から死亡までの戸籍一式、相続人全員の戸籍、印鑑証明書など。金融機関によって違います。
戸籍を取り寄せるだけで、数日から数週間かかります。葬儀費用の支払いには、まず間に合いません。
「あとから戻ってくるお金」として考えて、目の前の支払いは別の方法を用意しておく。そう割り切ったほうが現実的です。
注意すること
親に借金がある可能性があるなら、慎重にしてください。仮払い制度を使うと、相続放棄ができなくなる場合があります。
あと、ほかにきょうだいがいるなら、先に一言伝えておいたほうがいいです。あとから「勝手に下ろした」と言われると、長引きます。領収書は全部残してください。
手元にお金がなくても、後払いができます
ここが、いちばん知られていないところだと思います。
人が亡くなるタイミングは選べません。給料日前かもしれないし、まとまったお金を用意する時間はありません。
でも、支払い方法を選べる葬儀社があります。
| 支払い方法 | 内容 |
|---|---|
| 分割払い | 最長36回・即日審査(審査あり) |
| クレジットカード | リボ払い・分割払いにも対応 |
| コンビニ後払い | 葬儀が終わったあとに届く請求書で支払い |
| 現金払い | 葬儀の場で支払い |
私が調べた「心に残る家族葬」には、この4つの支払い方法がありました。直葬プランは143,000円で、請求額が見積額を上回った場合は全額返金という保証つきです。
分割払いには条件があります。電話で依頼したときだけ使えること、オリコの審査が必要なこと、そして葬儀が終わってからでは申し込めないこと。上限は100万円までです。
「今すぐ現金がない」と「葬儀を出せない」は、別の話です。ただし、動く順番は間違えないでください。
心に残る家族葬|葬儀プランの資料請求
資料請求をしておくと7,000円の割引券がもらえます。さらに、資料請求をした人だけが申し込める89,100円のシンプル葬プランもあります。時間があるうちに取り寄せておくと確実です。
ちなみに、さきほどの第7回調査では、喪主の63.8%が「葬儀の事前準備をしていなかった」と答えています。さらに87.1%が、他社と比較せず1社だけで葬儀社を決めていました。
時間も気持ちも余裕がない中で決めるから、そうなります。比べられるのは、今しかありません。
申請すれば戻ってくるお金があります
これは本当に忘れられがちです。
健康保険から葬祭費が支給されます。国民健康保険でも、後期高齢者医療制度でも。
金額は自治体によって違います。大阪府後期高齢者医療広域連合の場合は5万円。東京23区は7万円、3万円のところもあります。
親が会社の健康保険(協会けんぽなど)に入っていた場合は、葬祭費ではなく埋葬料という名前で、5万円が支給されます。窓口も市区町村ではなく、加入していた健康保険組合です。
申請しないともらえません。黙っていても振り込まれません。
期限は2年です。ただし起算日が自治体によって違います。大阪府後期高齢者医療広域連合は「葬祭を行った日の翌日から2年」。死亡日から数えるところもあります。
必要なものは、本人確認できるもの、申請書、葬儀の領収書、振込先の口座がわかるもの。窓口はお住まいの市区町村です。
直葬の場合は、先に確認してください
ここは注意が必要です。
通夜も告別式もおこなわない直葬の場合、葬祭費が支給されない自治体があります。
「葬祭を行った」の範囲をどう解釈するかが、自治体によって違うためです。たとえば横浜市は「火葬のみの場合は支給対象外」とはっきり書いています。火葬も葬祭に含める自治体のほうが多いのですが、確認しないとわかりません。
直葬を考えているなら、葬儀の前に市区町村の窓口へ電話で確認してください。「火葬のみでも葬祭費は出ますか」と聞けば答えてもらえます。
葬儀の領収書は絶対に捨てないでください。
まとめ
- 葬祭扶助は「葬儀を出す人」が困窮している場合の制度。親が生活保護でも、子に支払い能力があれば対象外
- 葬祭扶助を使うと、健康保険の葬祭費はもらえません
- 直葬・火葬式の総額は中央値49.56万円。プラン料金は下限であって総額ではありません。お布施は別枠です
- コンビニ後払い・分割払いに対応した葬儀社がある。ただし分割は審査があり、葬儀後は申し込めません
- 仮払い制度で最大150万円。ただし戸籍集めに時間がかかり、支払いには間に合いません
- 葬祭費は申請制。期限は2年。直葬だと出ない自治体もあるので事前確認を
制度の運用や金額は自治体によって違います。まずはお住まいの市区町村の窓口に確認してください。相続の手続きで迷ったときは、司法書士や弁護士に相談を。
参考にしたもの
- 鎌倉新書「第7回お葬式に関する全国調査」(2026年)
- 厚生労働省「生活保護法による保護の基準」(2026年4月1日施行分)
- 大阪府後期高齢者医療広域連合「葬祭費」
- 法務省「民法909条の2 遺産分割前の預貯金債権の行使」