発語がなく、カードなどの意思表示方法も使わない自閉症の子どもとの暮らしは、日常の中で「どう伝える?」「どう汲み取る?」の連続です。みーちゃんを22年間育てた今でも試行錯誤の毎日です。
ここでは、実際に私が22歳の娘・みーちゃんとの生活で実践している工夫を7つ紹介します。
1. 食事は器と場所を固定して「わかりやすさ」をつくる
同じ器や決まった席を使うことで、「これは食事」と理解しやすくなります。新しい器や環境では混乱することもあるため、あえて変化を少なくするのが安心につながります。
2. 服や靴は同じ型・同じ場所で管理する
服や靴は種類を増やさず、同じ型・同じ色で揃えると選択の負担が減ります。みーちゃんの靴は常時2足だけ。靴が傷んだら破棄して新しいものを1足買い足します。学校・放課後デイ・事業所など靴を履き替える場所、で自分の靴がどれか迷わないように。
3. 外出はルーティン化して安心感をもたせる
外出は「いつもの持ち物」「行き慣れた道」をセットにすると安心して出かけられます。ルール化することで、不安や混乱が少なくなります。みーちゃんは「休日おでかけ用」「事業所用」「ショートステイ用」と3つかばんがあります。かばんを出せば、今日の予定は何かを理解してくれます。
4. 選択肢は2つにしぼって「行動で選ばせる」
発語もカードも使わない場合でも、飲み物を2つ並べて「どちらを取るか」で意思表示ができます。でも、これができるようになったのは18歳になってから。それまでは、その時目についたものを選んでました。道のりは長かったです。でも、いつかはできるようになります。それまで続けるしかないと自分に言い聞かせてました。成人しても日々成長してます。
実際にみーちゃん(22歳)の場合、フードコートのタッチパネルで食べ物を選ぶとき、本当に好きな麺類や海鮮丼を選べるのは約60%。残りの40%は目についたものをなんとなくタッチしてしまいます。
原因は「選択肢が多すぎる」「パネルが大きすぎて視線が分散する」ためです。
そのため、
- あらかじめ候補を絞って提示する
- 紙に写真を印刷してから選ばせる。スマホで画像を見せる。
- 店舗やメニューを限定して予測できる範囲にする
といった工夫をしています。
5. 表情や行動パターンから気持ちを読み取る
言葉がなくても、笑顔や不機嫌な仕草、特定の動きなどは大切なサインになります。日々の積み重ねで「この動きは嫌のサイン」「これは喜んでいる」とわかってきました。22年間、ずっとみーちゃんの表情を観察しました。
- 口角が上がってるときは調子いい
- ”がー”など濁音の発声があった時は機嫌が悪い(機嫌いいときは鼻歌)
- 生理前のホルモンバランスが崩れる時は、しれっと自傷を増やしてる
- 外出時、お気に入りのおもちゃを出した時は、人混みが苦手だったりで不安な時。などなど
6. 生活リズムを安定させ、予測できる毎日をつくる
起床・食事・入浴・就寝の流れをできるだけ一定にすることで、本人も安心し、親も「伝わらない場面」を減らせます。リズムが崩れると混乱や不安につながるため、安定した日課は大きな支えです。
7. 好きなものや安心できるアイテムを常備する
お気に入りのぬいぐるみや飲み物など、安心できるものをそばに置いておくことで、切り替えが難しい場面でも気持ちを落ち着けやすくなります。みーちゃんは、いつも一緒に寝る犬の抱き枕とガーゼの毛布が安心アイテム。肌触りと自分のにおいがカギ。
まとめ
発語がなく、カードや意思表示も難しい子どもとの生活は、親にとって工夫の連続です。
ですが、日常の中で「伝わらない」を減らす工夫を積み重ねていくことで、少しずつ「伝わっている」と感じられる瞬間が増えてきます。
同じように悩んでいる方のヒントになれば幸いです。私もまだまだ修行中。
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